リブゼント・イノベーションズ株式会社 BACKBONE事業部



BACKBONEは、リグ(リギング)に情熱を注ぎ、極めたいと願うプロフェッショナルたちが集まった場所です。

「制作を支える柱でありたい」
「人・会社・経験を繋げたい」
「クリエイターの働き方を考えたい」

これらを重要なテーマとして、映像やゲームなど、さまざまなジャンルでリグ制作をサポートしています。また、リグに関する疑問や課題を共に学び、議論する『リグナイト』という勉強会の定期開催や、法人様向けのリガー育成プログラム『リグ道場』、そしてブログ記事を通じた技術発信など、幅広い活動を行っています。

当スタジオは、リガーとしてのスキルを極めるための最大の学びの場を提供しています。リグが大好きな方、さらなる技術向上を目指す方、そして強い意志を持って共に成長したい方、私たちの想いに共感できる方々のご応募をお待ちしています。一緒にリグを極めましょう!


募集職種

【新卒者採用】
・リギングアーティスト(リガー)
・テクニカルアーティスト(TD/TA)
※新卒に関しては、2025年、2026年卒業見込みの学生

【経験者採用】
・リギングアーティスト(リガー)
・テクニカルアーティスト(TD/TA)


使用ツール

・主にMaya、案件に応じてBlender、3dsMax
・Motion Builder
・Unity
・Unreal Engine5


仕事内容

・映像/ゲームなどのリグ制作全般
(骨打ち/補助骨作成/ウェイト調整/コントローラ作成/シミュレーション仕込みなど)
・ツール開発


応募資格

・専門学校/独学などで3DCGを学ばれた方
・MayaまたはBlenderでのリグ経験者

【歓迎するスキル】
・ツールやプラグイン開発が得意な方
・PythonまたはC++などのスクリプトが書ける方
・アニメーション経験者
・UnityまたはUnreal Engine経験者

【求める人物像】
・リグを極めたい方、やり遂げる強い意志を持つ方
・コミュニケーションがしっかりと取れる方
・几帳面な方
・好奇心/探求心/向上心の強い方


雇用形態

正社員 / 契約社員 / 業務委託 / アルバイト


採用予定人数

1名


勤務地

・自宅でのリモート作業とオフィスへの出勤の併用(9:1)
・遠方、地方の方はフルリモート可

〒106-0047
東京都港区南麻布3-19-16 アーバンネット南麻布 201号
アクセス:白金高輪駅から徒歩5分、広尾駅から徒歩10分


待遇

(新卒採用)正社員・契約社員:25万円/月~
(中途採用)正社員・契約社員・業務委託契約・アルバイト:経験や能力を考慮して決定致します

試用期間あり
試用・研修期間:3か月
試用・研修期間の条件:本採用と同じ

【賞与/昇給】
・昇給:あり(4月)業績や本人の成果によって有無と金額を決定致します
・賞与:人事考課、業績により決定致します

【福利厚生】
・在宅勤務手当:5,000円/月
・交通費:6ヵ月ごとの定期代を支給、上限25,000円/月
リモート勤務の場合は、出社時に実費を支給
・雇用保険 / 厚生年金 / 健康保険

休日休暇 / 完全週休2日制(土曜日、日曜日、祝日、その他会社が指定した日) / 特別休暇(4日/年)/ 夏季休暇 / 年末年始休暇 / 有給休暇 / 疾病休暇(有給)/ 子の看護休暇・介護休暇(無給)


勤務時間

裁量労働制採用
実働時間:10時~19時を基本とし、労働者の決定に委ねる
各月あたり160時間労働相当の業務成果を収めることを目安とする
休憩時間:1時間以上


応募方法

・履歴書(写真添付、志望動機記載)
※使用可能なツール、スクリプト言語、自己PRなどを詳しく記載してください
・職務経歴書 ※職務経歴書がない場合は、自己PR文書を提出してください
・ポートフォリオ

担当者名:山崎有似
企業名 リブゼント・イノベーションズ株式会社 BACKBONE事業部

設立日 2017年7月10日

従業員数 13名

事業内容
・リグ受託制作(映像/ゲームなどCG全般)
・リグコンサルティング/ディレクション
・ワークフロー開発
・ツール開発
・企業様向け研修
・人材育成

所在地
〒106-0047
東京都港区南麻布3-19-16 アーバンネット南麻布 201号

連絡先 03-5449-7820

URL
https://backbone-studio.com/

劇場先行版『機動戦士Gundam GQuuuuuuX-Beginning-』
© 創通・サンライズ

映画『THE FIRST SLAM DUNK』
© I.T.PLANNING,INC. © 2022 THE FIRST SLAM DUNK Film Partners

映画『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』
©バード・スタジオ/集英社 ©「2022ドラゴンボール超」製作委員会

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』
©カラー

『竜とそばかすの姫』
(C)2021 スタジオ地図

『鉄拳8』
TEKKEN™8 & ©Bandai Namco Entertainment Inc.

『ガールズバンドクライ』
©東映アニメーション

『GRANBLUE FANTASY: Relink』
© Cygames, Inc.

『シン・ウルトラマン』
Ⓒ2022『シン・ウルトラマン』製作委員会 ©️円谷プロ

『FINAL FANTASY VII REBIRTH』
© SQUARE ENIX
CHARACTER DESIGN: TETSUYA NOMURA / ROBERTO FERRARI
――会社名と設立年月日、事業内容を簡単に教えてください。
福本:会社名は、リブゼント・イノベーションズ株式会社、設立は2014年になります。 BACKBONEは、リグに特化したスタジオとして、2017年に社内事業部として設立しました。社内事業という位置付けではありますが、リブゼント本社とは独立した形で、主に映像やゲームなど、CG全般に関するリグ制作の受託業務を中心に活動しています。また、リグコンサルティング業務として、ワークフローの構築やご提案、リグ設計、テクニカルアドバイスなども行っています。
――なぜ「リグ専門のスタジオ」を立ち上げようと思われたのか、その経緯を聞かせていただけますか?
福本:私はCG業界に入って23年目になりますが、BACKBONEを立ち上げる前に転職を2回経験しています。その2社目を辞めた時がちょうど16年目でした。 1社目では、アニメーションとリグをメインにややジェネラリスト寄りの立場で活動し、2社目ではしばらくリグ専門で活動した後、アセット部門の部長に就任しました。部長とはいえ、リグのスーパーバイザーも兼任していたので、実質的にはプレイングマネージャーとして管理職もこなしつつ作業を続けていたのですが、次第に管理職の仕事が増えていきました。会社からはさらに上の管理職を打診され、いよいよ作業ができなくなりそうだなと。

当時、確か38歳だったと思いますが、このくらいの年齢になると、次のキャリアパスについても考えますよね。かなり悩みました。管理職一本に絞ってしまうと、今まで積み上げてきたリグの知識を閉じてしまうことになる。それがあまりにももったいないと感じていて。業界全体でリガーが不足している中、自分の知見やノウハウを次の世代に残したい、業界の役に立ちたいという想いも強くあったんです。リグが大好きでしたし。
いろんな会社さんのお手伝いをしながら、教育や発信もしていけば、自分の経験をより多くの人に共有できるんじゃないかと思ったんですね。それで「自分でリグ専門のスタジオを立ち上げよう」と決断した流れになりました。

その後、リブゼント・イノベーションズでBACKBONE事業部を立ち上げる訳ですが、弊社代表の橋本善久との出会いや、BACKBONE事業部設立の経緯については、ボーンデジタル様のインタビューで詳しくお話していますので、ぜひそちらもご覧いただければと思います。
※「リギング専門集団をつくることで業界に「働き方改革」を。BACKBONEスタジオ開設のねらいを聞く」
https://cgworld.jp/interview/201805-backbone.html
――苦労や転機となったエピソードなどはありますか?
福本:もともとアニメーターになりたくてこの業界に入りました。学生時代の卒業制作でもアニメーションに力を入れていて、「この人はアニメーション一筋だな」と思われるような作品を作っていました。実際、アニメーションをやりたい一心で入社し、念願かなってアニメーション業務に関わることができたのですが、その際に使用されていたリグが非常に使いづらくて…。アニメーションを付けるたびに「こう動かしたいのに、コントローラーが使い辛い…」と感じていました。

当時は日本のCG業界全体で、まだリグ技術が成熟していなかった時期で、手探り状態でリグを組んでいるような状況でした。新人アニメーターだった私ですが、「ここにもう一本骨があればいいのに」とか「こういう動きがしやすいコントローラーがほしい」など、不満だけはたくさんありました。新人のくせに生意気ですよね(笑)。

社内でもリグの重要性は感じられていたものの、「リグは難しい」というイメージが強く、率先して改良に取り組む人がいませんでした。待っていてもリグが改善されるわけではないので、「それなら自分で使いやすいリグを作ってアニメーションしたい」と思うようになりました。この頃からリグに興味を持ち始めたんです。
――それがリグにシフトした大きな理由だったんですね。
福本:リグを改良した際に、アニメーターから「これ、すごく動かしやすい!」と喜んでいただけたのが本当に嬉しくて、それをきっかけにどんどんのめり込んでいきました。アニメーションも大好きだったので、しばらくはリグとアニメーションの両方を兼任して取り組んでいました。ただ当時は、最終的な目標は「一流のアニメーターになること」だと考えていて、リグはそのための手段としか捉えていなかったんです。

その後、転職を機に手付けアニメーターの卓越した技術を目の当たりにしました。「自分の中途半端なスキルでは、このレベルでは戦えない」と痛感した瞬間でした。業界で生き残るためには、一つの技術で突き抜けることが重要だと考えていたので、この時点でアニメーションを片手間で続けるのはやめようと決意しました。
リグであれば、これまでのアニメーションの経験も活かせますし、アニメーターを支える立場として貢献できる。自分のスキルにも合っていると思ったんです。そうしてリグ専門に舵を切ることを決めました。
当時はまだ若く、多少の迷いはありましたが、決断に後悔はありませんでした。業界で生き抜くことが最優先でしたからね(笑)。

――御社が制作に携わった作品や実績について、お伺いできますか?
福本:映画では『THE FIRST SLAM DUNK』や『シン・エヴァンゲリオン劇場版』、『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』、ゲームでは『鉄拳8』や『FINAL FANTASY VII REBIRTH』などに携わらせていただきました。他にもいろいろありますが、主に映画、アニメ、ライブ、ゲームに関連するリグ制作のお手伝いをさせていただくことが多いです。

メインのDCCツール(※3DCG制作ソフト)としてはMayaを使用していますが、案件に応じて3dsMaxやBlenderも使用しています。Blenderに関しては、1月17日上映の、劇場先行版『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』でのリグ制作をお手伝いさせていただきました。

リグシステムについては、ボディやフェイシャルを含めた当スタジオ独自の内製システムを使用しています。ただ、案件ごとに柔軟に対応する方針です。たとえば、クライアント様が独自のリグシステムをご使用の場合は、そのツールを習得したうえでリグを構築する流れになります。また、mGear、AdvancedSkeleton、eST3といったリグシステムをご希望される場合も、ご要望に沿って対応しています。まずは、クライアント様のご要望をしっかりとお伺いし、最適な方法を一緒に考えながら柔軟に対応する姿勢を大事にしています。
また、ワークフローの構築や改善のご相談があれば、私たちがコンサルタントとして設計をお手伝いしつつ、具体的な作業は受託業務として対応することが多いですね。
――これまで携わった実績の中で、特に印象的な作品や、その背景について教えていただけますか?
福本:どの作品もその時々で抱えている問題に向き合いながら進めたので、印象に残っていますが、『THE FIRST SLAM DUNK』と『鉄拳8』に関しては、企画段階からリグコンサルティングとして、設計やワークフローの構築、スケジュールの最適化、開発、そしてその後の量産フェーズでのリグ制作まで、通してお手伝いさせていただいたので、特に印象に残っています。
両作品ともファンが多く、期待も大きかったのでプレッシャーがすごかったですね(笑)。

『鉄拳8』については、クライアントの案件担当者様が、以前私が登壇した「※Mayaパーフェクトスキニングウェビナー」を視聴してくださって、そこからご相談いただいたのがきっかけでした。情報発信を通じてお仕事に繋がった、良いケースだったと思います。
※https://area.autodesk.jp/event/webinar/maya-skinning/
――受託業務以外にリグナイトブログなどの情報発信を行っているとお聞きしましたが、どのような経緯で始められたのでしょうか?
福本:業界全体でリガーが不足している状況が続いています。その一因として、リグに関する教材や学習機会が十分でないことが挙げられると思います。こうした問題に対して、リグ専門スタジオとして何かできることはないかと考え、ブログやセミナーを通じた技術発信、そして『リグナイト』を始めました。
リガーの人材不足を短期的に解消するのは難しいかもしれませんが、会社やセクションを越えて、日々の些細な疑問や業界全体の課題を共有して議論しながら一緒に学び合うことで、問題解決や業界の活性化に繋がるのではないかと考えています。
――「リグナイト」はもう何回ぐらい実施されているのでしょうか?
福本:リグナイトはこれまでに14回開催しています。コロナ禍以前は、3ヶ月に1回のペースで弊社のオフィスでオフライン開催をしていましたが、2020年以降はコロナの影響を受け、オンライン開催に切り替えて、年に2回のペースで開催しています。
昨年は、Autodesk様のご協賛のもと、ボーンデジタル様と共同で『リグナイト超(スーパー)』をオフラインで開催させていただきました。約5年ぶりとなるリアル開催で、規模は200名を超えるイベントでしたので、準備や当日の司会進行は大変でしたが、直接お会いして交流できる喜びは別格でとても楽しかったですね。現在は、通常のオンライン形式に戻して開催しています。
――「リグナイト」は法人様以外の方も参加できるんですか?
福本:はい。フリーランスの方や学生の方、どなたでも議論枠・視聴枠のいずれにもご参加いただけます。実際に、学生の方が議論枠に参加されていることもあります。リグナイトを通じて業界の方々と知り合い、そのご縁で就職につながった学生さんもいます。現在では、プロのリガーとして議論枠に参加されていますが、一緒にリグについて議論できることがとても感慨深く、リグナイトを開催して良かったなと感じています。
リグナイトの告知については、当スタジオのウェブサイトにて随時お知らせしているので、定期的にご覧いただけると嬉しいです。

――御社の企業文化や働き方について教えていただけますか?
福本:BACKBONE事業部では、アウトプットとインプットのバランスを重要視しています。アウトプットは主に仕事の成果ですが、ブログ記事やセミナーなどで情報を発信することも含まれます。一方、インプットは学びや報酬ですね。
働きすぎるとプライベートの時間が取れず、生活のリズムが崩れ、疲弊してしまいます。スタッフにはプライベートの時間も充実させてほしいので、「1日8時間の勤務の中でしっかり成果を出し、しっかり休む」というスタンスを重視しています。

例えば、案件の納品が迫ると一気に集中力が高まりますよね。でも、プロジェクトの序盤の数ヵ月は、どうしてもダラダラしがちです。仕事なのに状況によって集中力や時間の使い方がまるで違う。流石に、毎日納品直前と同じテンションで作業すると疲れると思いますが、最初から1日8時間しっかり集中して作業すれば、余裕が生まれるはずです。もし時間が足りなければフォローし合えばいい。そうやって生み出した時間を、新規開発などの学びの時間やプライベートに充てる。そういうメリハリのある働き方を大事にしています。

土日祝日の出勤は一切ありません。基本的に22時以降の残業も禁止しています。全スタッフの業務時間や業務内容は数値で管理しており、働きすぎている時期も明確に把握できます。毎月一度、私が全スタッフと面談し、働きすぎた月の翌月は少し休暇を取れるよう調整するなど、それぞれのライフスタイルにできるだけ寄り添った管理を心がけています。不満があれば面談でヒアリングし、すぐに対応するようにしています。
――なるほど。実際、土日出社や深夜残業はどの程度発生しているんでしょうか?
福本:当スタジオは設立して今年で8年目ですが、土日祝日に勤務させたことは1回もないですね。残業は納品前にトラブルがあれば例外もありますが、7年間で数回程度ですね。
人によっては22時近くまで働いているスタッフもいますが、早く仕事を終えた際はその分早めに退勤しています。例えば、お昼に映画を観に行きたければ行ってもOK。その分をどこかで埋め合わせてくれれば問題なし、というスタンスです。長期的に見て1日8時間の労働時間を守れていれば、働き方は自由にしてもらっています。
こうした環境だからこそ、スタッフ一人ひとりが自己管理を徹底し、高いプロフェッショナル意識を持って働いています。コロナ以降はリモート業務に切り替えましたが、生産性はまったく落ちませんでした。
――それだけ柔軟に働けると、スタッフさんの定着率も高そうですね。
福本:社員の離職率はかなり低いほうだと思います。昨年、プライベートの事情で1人退職しましたが、それまでは退職者ゼロでした。長く誰も辞めなかったということは、みんな居心地がいいと感じてくれているのかな、と思っています。まぁ、不平不満は多少あるでしょうけど(笑)。
学ぶ機会という点では、月に1度、丸1日かけて新しい技術開発の研究をしたり、ブログ記事を書いたり、個人で調べたいことを学んだりする時間を設けています。さらに、3週間に一度は社内でワークショップを開催し、担当した案件の苦労話やノウハウをシェアする場を作っています。プレゼンの機会にもなるので、アウトプットの経験を積む良い場になっていると思います。
――御社が重視している価値観や、大切にしている考え方などはありますか?
福本:常に相手のことを考えて行動する「利他主義」の考え方を大切にしています。 リグはアニメーターが使うものなので、「どうすればもっと快適に使ってもらえるか?」を常に意識することが重要です。リグ制作者の視点だけで作ってしまうと、自己満足に終わってしまいます。
これまでの経験上、ご要望に沿ったリグに少しでもプラスアルファの機能を加えると、アニメーターにとても喜んでもらえましたし、自分の評価も上がりました。ただ、「工数がないのでできません」と切り捨てるのではなく、「どうすれば使う人や観る人に一番喜んでもらえるか?」を考え、時間を生み出す工夫をする。そうした利他主義の視点を持つことで、リグをより丁寧に仕上げたり、チェックの時間を効率化できたりするんじゃないかと思います。
また、説明やプレゼンの場でも、伝えたいことだけを話すのではなく、相手が何を知りたいのかを意識することがとても重要です。この点でも、利他主義の考え方が活きてくると感じています。

――現在取り組んでいる課題や、今後のイベントなどを含めて、何か力を入れていることはありますか?
福本:課題は、スタッフにいかにアニメーションの経験を積ませるか、ですね。 当スタジオはリグやツール開発を専門にしているため、仕事でアニメーションを付けるといった機会がありません。特に新卒のスタッフは、学生時代にリグを組んでいたとしても、アニメーションやモデリングの経験があまりないケースが多い。そのため、「アニメーターがどんなリグを使いやすいと感じるのか」という視点が身につきにくいんです。
使いやすいリグを作るには、やはり自分でアニメーションを経験することです。アニメーターの苦労を知るというか。ただ、実際にアニメーションを作る機会を設けるのはなかなか難しい。そこで、まずはクライアントのアニメーターと直接やり取りする機会をつくり、アニメーションをつける経験はなくても、アニメーターの考え方や視点を身につけられる環境を整えています。この積み重ねが、最終的に使いやすいリグにつながると考えています。
自分が今の立場にこれたのも、間違いなくアニメーションの経験があったからだと断言できます。リグを作る上でアニメーションの視点があると、どうすればアニメーターが使いやすいかを具体的にイメージできるようになります。この経験が、リグのクオリティや仕事の進め方にも大きく影響していると思います。
――他にはどのような課題がありますか?
福本:新しい技術の習得やAIとの向き合い方が課題でしょうか。 UnityやUnreal Engine、Houdini、Bifrostなど、新しいツールや技術が次々に登場しているので、スピード感をもって取り組む必要があります。ただ、実際の業務もあるため、学ぶことが多すぎて時間が足りない…というのが大きな課題です。
Blenderに関しては、2年ほどかけてリグ開発から実際の案件をこなせるまで成長することができましたが、新しい技術の習得にはやはり中長期的に時間がかかりますね。

リグのスペシャリスト集団である以上、リグに関する新しい技術には率先して取り組まなければならないという責任も感じています。新技術へのキャッチアップをどう進めるか。それをチーム全体で共有し、実際の案件にどう組み込んでいくか。こういった点が今、最も大きなテーマだと考えています。
――今後のイベントは、どのようなものを予定されているのでしょうか?
福本:ブログでの情報発信やリグナイトは引き続き続けていきますが、それとは別に新たなサービスを展開しようと考えています。具体的には、リガーを目指す学生向けの『リグ相談室(仮)』です。
これを2〜3ヶ月に1回、1時間ほどオンラインで無償開催する予定です。1対1の完全個人面談のようなイメージです。 リグに悩んでいる学生さんの力になれればと思っていますが、需要があるかな(笑)。
――無償でそういう場を提供されるのはすごいですね。実際の運営はどのように行うのでしょうか?
福本:具体的な詳細はこれから考えて、後日、BACKBONEのウェブサイトで告知する予定です。また、私自身が直接対応するのではなく、当スタジオのスタッフが交替で対応する形にしようと考えています。学生の方と話すことで、スタッフにとっては「今の学生さんが何に悩んでいるのか」を知る貴重な経験になりますし、コミュニケーションやアウトプットの機会にもなります。また、教えることで自分自身も「なぜそうなるのか?」や「自分はどうやって学んできたか?」を振り返ることができ、こうした経験はチーム全体の成長にもつながると考えています。
我々が伝えることが必ずしも正解ではないため、間違った選択をされないように十分に注意しながらお話しすることが重要ですが、相談相手として学生の方の力になれると思っています。

――求人採用についてお聞かせください?
福本:フリーランス、社会人、学生、新卒・中途を問わず、「リグを極めたい方」「当スタジオの理念や働き方に共感できる方」「コミュニケーション能力が高い方」を募集しています。
これまで積極的な採用はしておらず、スタッフは13人固定で活動してきました。しかし、今回一人退職者が出たため、その穴を埋める形で「1名のみ採用を検討している」という状況です。もちろん、とても良い人材がいれば追加で採用する可能性もありますが、基本的には1名の募集となります。
26年卒予定の学生さんで「ぜひ一緒に働きたい!」と思える方であれば、卒業まで待つことも可能ですし、即戦力となる方であればすぐに採用を考えています。
フリーランスの方については、お互いのタイミング次第な部分もあるので、今後の関係性を含めてご興味があればぜひご連絡いただければと思います。
――御社に入社を希望する方は、やはりCGソフトをひとつしっかり使いこなせることが重要でしょうか?
福本:まず、何かしらのDCCツールを使えることが前提になります。Mayaが使えると理想的ですが、3dsMaxやBlenderでも全然大丈夫です。ポテンシャルがある方なら、どのDCCツールでもすぐに上達すると思います。リグについて勉強したことがある方、実際にリグ作業を少しでも経験したことがある方だと、なお嬉しいですね。
――なるほど。実務経験がなくても、リグの仕組みや使い方を勉強していれば応募可能ということですか?
福本:当スタジオへの入社のハードルが高いといった印象があるかもしれませんが、実は全くそうではありません。実際、スタッフの三分の一が異業種からの転職組で、新卒で入社したメンバーもかなり多いです。業界にリガーが少ないため、簡単には人が集まらないので、「だったら育てよう」と考え、学生の方も積極的に採用しました。経験者の中途採用は5名のみで、あとは全員一から育てたメンバーです。

中には、Blenderしか使えない状態で入社した方もいます。その方は面接時にMayaを全く触ったことがなかったのですが、「入社まで2ヶ月だけ時間をください」と言い、独学でMayaを勉強してきてくれました。その上達スピードは驚くほど速く、ものすごく努力されたんだと思います。2ヵ月間で、Mayaの操作だけでなく、手付けリグ、フェイシャルリグ、シミュレーションリグ、筋肉表現をすべてMayaで実装していました(笑)。入社後は即戦力として活躍してくれましたね。「Blenderしか触ったことがない」という方でも、ポテンシャルとやる気さえあれば全く問題ないと考えています。

――リグを学べる環境としては、やはり御社ならではのメリットがあるのでしょうか?
福本:当スタジオは、映像やゲームの受託業務を通じて、さまざまな会社さんの案件をお手伝いする機会が多いため、幅広いリグシステムに触れられる環境があります。
一つの会社に所属すると、その会社独自のリグシステムに染まってしまい、どうしても視野が狭くなりがちですが、当スタジオでは複数のリグシステムを同時進行で扱う機会が多いので、いろんなリグを触って解析し、多くの知見と経験を得るには最適な環境だと思います。
中には触ったことのないリグシステムもありますが、その場合は1週間ほど習得期間を設けてから作業に入るという流れです。 また、ワークショップや勉強会といったナレッジシェアの文化が根付いているので、スタッフ同士で技術を高め合える環境も整っています。
――どのような人材を募集されていますか?
福本:まずは当スタジオの想いに共感できる方、そしてリグが大好きで極めたい方を歓迎します。特にコミュニケーション能力が高い方だと嬉しいですね。私は、スタッフ全員をリグコンサルティングができる人材に育てたいと思いながら教育をしています。BACKBONEの最終目標は、リグコンサルタント集団です(笑)。
リグのコンサルティングには、技術力はもちろん、問題を多角的に分析する力、解決力、提案力 などが欠かせません。そして、何よりもコミュニケーション能力が低いと成り立たない仕事です。もちろん、仕事をしていく中でコミュニケーション能力は鍛えられていきますが、入社時点でこのスキルが高い方はリードクラスまでの成長が早いと感じますし、実際に仕事もしやすいです。

――学生の方々に向けて、在学中に学んでおいたほうがいいことは何かありますか? 特にリガーやTD、TAを目指す場合、それぞれ必要なスキルが違うと思いますが。
福本:リグ作業では、テクニカルスキルだけでなくアート要素も求められます。例えば、骨打ちやウェイト調整といった作業では人体解剖学の知識が欠かせません。学生のうちから人体解剖学について調べたり、動きの原理を学んでおくことは、とても大切だと思います。
頭の中のイメージだけで作業するのではなく、実際の動きや仕組みをしっかり観察して、それを「再現するための作業」をする、という癖をつけてほしいですね。イメージだけで作業を進めると、ミスに繋がりやすいだけでなく、説得力のない結果になってしまうことが多いです。だからこそ、物事をロジカルに考える習慣を意識して身につけてほしいですね。

また、今はネットで検索すれば、リグに関するブログや教材、チュートリアルがたくさん見つかりますし、良いサンプルデータも多く公開されています。そういったデータを解析することで得られることは本当に多いです。(もちろん間違った情報もありますが、学生のうちはそこまで気にしなくて大丈夫です。)たくさんのデータに触れて、吸収していくのも良い経験になると思います。
さらに、アニメーションの経験もぜひ積んでおいてほしいです。リグを使うアニメーターの視点を知ることで、より使いやすいリグを作ることができるようになるはずです。学生のうちは技術が足りなくて「こうしたいのにできない!」ってもどかしいこともあると思います。でもその悔しさも全部、今後の学びの糧になります。
――その他にリガーにとって必要な要素はありますか?
福本:コミュニケーション能力ですね。リガーは、モデラー、アニメーター、プログラマーなど多くの工程の方とやり取りすることが多いので、コミュニケーション能力はかなり重要だと思います。ジュニアの頃は、上司からの指示に従って作業することが多いので、そこまで高いコミュニケーション能力を求められる場面は少ないかもしれません。でも、リードやスーパーバイザークラスになってくると絶対に必要になってきます。
どの会社さんも、将来的にそういうポジションを見越して採用されていると思うので、学生のうちからコミュニケーション能力を磨いておくと良いと思います。グループ制作に参加したり、アルバイトを通じて色んな人と接するのも良い方法だと思います。
――お話ありがとうございました!